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   2021.05.06.
  テンセント:楽天に657億円の出資・3.65%の大株主!
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657億円の出資で霞が関が右往左往!
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日本郵政の1499憶円の使途は!
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 3月12日、楽天が日本郵政や米ウォルマートなどから総額2423億円を調達する第三者割当増資を発表した。この中には、中国ネット大手の騰訊控股(テンセント)グループからも657億円の出資を受け、楽天の3.65%の大株主になると発表されていた。「テンセントからの払い込みは遅れると発表していたが、最終的には4月1日に払い込みが無事完了した」と報道された。
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なぜ遅れたのか、
「実は、この払い込みの遅延には、外国為替及び外国貿易法(外為法)が絡んでおり、経済産業省が中心になって、政府は2019年末に外為法を改正した。このとき、海外企業が指定業種の企業に1%以上の出資をする場合、届出を行うことを義務付けた。その指定業種というのは、『国の安全を損なうおそれが大きい』業種などで、武器製造や原子力、電力、通信などが対象。楽天は携帯電話事業も手掛けているので、この通信業種に該当する。その届出を出すのか出さないのかでもめたようだ」
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外為法を改正する必要は、
「2年前に経産省と財務省が外為法の改正を急きょ行ったのは、米国からの要請だと聞いています。『米中貿易戦争』が激化する中で、当時のトランプ米大統領が米国内から中国企業を締め出す姿勢を強めていました。それを日本にも求めてきた。米国の狙いは、明らかに中国だった」
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 法改正では、10%だった出資基準を1%に引き下げた。より少ない出資額でも届出を義務付けることで、中国による日本企業の買収の動きに目を光らせるようにしたのだ。
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「ただ、米国などの投資ファンドが日本企業に投資する場合も対象になってしまいますので、批判の声も上がりました。そこで取締役の派遣など経営参画の意図がない場合、届出の対象にはしないという“例外規定”が後から作られた」
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 改正法後、テンセントが楽天へ出資するという話が持ち上がった。
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「楽天が出資を受けると発表した直後の3月17日、LINEが業務委託していた中国の関連会社から個人情報が流出していたことが発覚。テンセントが開発したアプリの『WeChat(ウィーチャット)』は世界で10億人が使っていますが、中国政府がそのデータを使って利用者の行動を監視しているという疑念が広がった。
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 楽天も個人情報を扱っており、テンセントが出資することで情報漏洩の恐れはないかという声が、政治家や霞が関、識者から挙がり、テンセントは外為法の届出をしないのか、という非公式な問い合わせがあったようで、それが増資日程に影響した」という。
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通信業界関係者は、
「三木谷社長は『テンセントと業務提携』と口では言っているが、実際には携帯電話基地局の建設資金が足らず、喉から手が出るほどカネが欲しかっただけ。そこで仲の良いテンセントのポニー・マーCEOに頼んで出資してもらった。テンセントは経営参画するつもりはないようです」、テンセントも経営に関わらなければ外為法の届出は必要ないだろうと、考えていた。そこに非公式な問い合わせがあって、大騒ぎになった。
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「届出には経産省と財務省、それぞれの許可が必要になり、後の管理もこの2省が行う。楽天の場合、通信事業があるので総務省も絡んでくる。また、安全保障点から、内閣官房の国家安全保障局や外務省も関係してくる。
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 仮に届出を出されたら、審査をしなくてはならない。届け出を出しても、結果責任を取る許可を出せるだろうか。出資するなと結論付た場合、657億円の資金は得られなくなり、日本郵政(政府が56.87%の株式を保有)が1499憶円の資金を提供したにもかかわらず、経営に重大な影響が出る可能性もある。
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 テンセント側は複数の官庁と非公式に、接触し「経営参画の意図がない点を契約書に明記」してあることなどを説明。届出する必要のない“例外規定”に当たると主張した。役所側は話を『聞きおく』ということで、テンセント側は例外規定に該当するので、最終的に届出は出さないと判断した。
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 米国では対米外国投資委員会(CFIUS)に、米国企業の買収や株式取得が安全保障に与える影響を調査する権限が与えられている。だが、日本政府がそれをチェックする手段を持っていない。
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 総務省は4月14日、「5G」向けの追加電波を、楽天モバイルに割り当てると発表した。東名阪エリアを除く全国において1.7GHz帯の基地局を開設できるようになる。
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 認可にあたっては12の条件が課せられている。その1つに「設備投資及び安定的なサービス提供のために必要となる資金の確保、その他財務の健全性の確保に努めること」がある。
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 認可の条件に財務の健全性の確保が明記されているのだ。これは2018年4月に楽天モバイルの参入を認めた際にもついた条件である。モバイル通信はライフラインの1つとなった。インフラ事業を営むにあたり、資金難となって突然サービスを停止されては困るからだ。
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 財務の健全性を示す指標の1つに自己資本比率がある。楽天の自己資本比率は20年末時点で4.86%だった。金融事業を抱えるため低くなるのは仕方がない部分もあるが、16年末の14.82%や19年末の8.03%と比べると、低下が著しい。楽天はモバイル事業への投資がかさみ、前期に1000億円超の最終赤字となった。
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 楽天は4月19日、外貨建てでの永久劣後債の発行を決めたと発表した。ドル建てが総額17億5000万ドル(約1900億円)。ユーロ建ては10億ユーロ(約1300億円)で、発行総額は約3200億円となる。一度の起債では同社の過去最大規模だ。
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 劣後債とは、債務不履行に陥った際に弁済の順位が普通社債より劣るため利率が高くなる。ただ、格付け会社からの格下げリスクは抑えられるメリットもある。また楽天グループは国際会計基準を導入しているため、永久劣後債で調達した資金を全額資本として扱える。楽天が採用する国際会計基準(IFRS)では、自己資本比率の改善にもなる。
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 3月にはテンセント子会社や日本郵政などから総額2400億円の出資を受け入れた。しかし、「まだ足りない数千億円をどう調達するかが課題」と指摘され。楽天が非金融事業で稼ぐ営業キャッシュフローよりもモバイル事業の設備投資が大きくなり、その赤字額は「2年で1兆円」とも言われる。劣後債の発行や第三者割当増資で6000億円弱を調達したが、その差である4000億円強をどう調達するかが課題だ。
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