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   2021.08.11.
  残コン処理:建設資材が廃棄物になる境目は!
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産廃法では残コンが廃棄物とは定義されていない!
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残コンの分類は「汚泥」である!
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 残コン処理は、生コン製造工場の自主処理という名で押し付けられている面があるが、発注元の建設業者は処理費を負担しているという声が聞こえてくる。それは一部の建設業者であろう。
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 生コンの流れは、製造工場から建設現場、打ち込みが終わり余剰生コン、ポンプ車の残コンを有料で引き取り工場へ帰社する。
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 「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」で産業廃棄物と定義(法第2条)されているものは、事業活動から生じる廃棄物のうち「燃えがら、汚泥、畜産業から排出される動物の糞尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、畜産業から排出される動物の死体など20種類の廃棄物」をいう。
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 この法律の対象者は、産業廃棄物を発生させた事業者自身が廃棄物を処理(法第3条、第11条、第12条)しなければならないとされている。自ら廃棄物処理が出来ない場合は、許可を有する産業廃棄物処理業者(法第14条)へ基準に従い委託する。
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 「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令」第2条では政令で定める廃棄物として13項目あるが、生コン残渣或いは残コンに関する定義はない。第2条九に「工作物の新築、改築又は除去に伴つて生じたコンクリートの破片その他これに類する不要物」とあるが生コンの分類はない。
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 残コン、戻りコンは法律では、汚泥に分類されている。残コンなどが産業廃棄物であると定義されている条文はないのである。曖昧な中で汚泥として処理されている。残コンとして定義されない原因は環境省、国交省、経産省の3省にまたがる事案であり、ルールの未整備が指摘されている。政策が一本化されていないことから、都道府県は残コンが産業廃棄物であるか否か、態度不明確なところが多い。
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 都道府県の担当部署の見解は「残コンは廃棄物ではない」というのが主流のようだ。と言うことは、残コン処理は廃棄物処理には当たらないということになる。
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 生コンの所有権は、出荷納品伝票が建設現場で受領サインされた時に移転されたことになるが、余剰生コンや残コンが発生したときは「まだ生コン」であり製品である。ミキサー車が残コンを持ち帰った時点でも「生コン」である。ミキサー車から排出ヤードに破棄された時から「産業廃棄物」となる。
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 戻りコンを含め残コンも、ミキサー車で工場へ戻り始めたときから所有権は生コン製造会社へ移り、生コンが固化したときから産業廃棄物となり排出者は生コン製造工場となる。
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建設現場からは各種廃棄物が出る。埋設コンクリートガラ、土壌汚染処理、地盤改良、杭工事、内外装・設備工事からの廃材など多種多様である。これらは現場から産廃処理業者へ委託されている。それなのに、残コン、戻りコンの処理は生コン製造工場が持ち帰り、排出者として産廃業者へ委託している。不思議なことである。
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