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   2022.05.05.
  リチウム生産の「グリーン」技術:巨額投資でも難題山積!
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装置は小さいが飲用水と電力を大量に使う!
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 電気自動車(EV)などのバッテリー材料として欠かせないレアメタル(希少金属)のリチウムで革新的な生産技術が注目を集め、鉱業大手のリオ・ティントや米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)、そして米エネルギー省もが開発に多額の資金を投入している。
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 「直接リチウム抽出法(DLE)」と呼ばれるこの新技術が商用化されれば、従来技術よりも環境負荷をはるかに抑えて生産を拡大することが可能になる。まずは商用規模の運用を立証することが先決のようだ。
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 DLEはフィルターや膜、セラミックビーズなどの装置を使い、かん水からリチウムを抽出する。装置は通常、小さな倉庫に収容することが可能だ。露天掘りや蒸発池などによる今の方式は、何面ものフットボール競技場に匹敵する広いスペースが必要で、地域住民からの支持も得にくい。
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 DLEは飲用水と電力を大量に使う場合が多く、これまで商用規模での運用は皆無だ。
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DLE技術を何かにたとえるならば、飲料水から金属類を取り除く家庭用浄水器だ。 この処理では、リチウムの濾過に数時間しかかからず、スペースも平均的な規模の倉庫で済む。 対照的に、これまでの手法で用いられていた蒸発池は数百エーカーの規模になることもあり、近隣の帯水層を恒久的に枯渇させ、しかもリチウムを生産するのに数年を要する。 とはいえ、ほとんどのDLE技術は、太陽光を利用する蒸発池に比べて運用コストが高い。 また大量の真水と電力が必要になる場合もある。 米大手アルベマールなど既存のリチウム生産企業は、DLE技術の研究は行っているものの、エネルギーと水の消費が大きいという懸念があるため、このテクノロジーが主流になるとしても2020年代終盤になるだろうと判断しているという。
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 世界中の自動車メーカーや鉱山会社、投資家が、EV革命に欠かせないリチウムの大部分が供給可能になるとして、DL関連企業に何百万ドルもの資金を注ぎ込んでいる。
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 グランホルム米エネルギー長官は「大変革をもたらす技術だ」と持ち上げた。エネルギー省は、著名投資家のウォーレン・バフェット氏率いるバークシャー・ハザウェイがカリフォルニア州の塩水内陸湖、ソルトン湖でDLE技術の試験を行うのに1500万ドルを助成したほか、他のDLE開発プロジェクトへの資金提供も検討している。
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 DLE技術は、リチウム生産世界最大手のアルベマールなど既存の鉱山業者や、リチウム・アメリカズなどこれからこの業界に打って出ると見込まれる企業にとって、クリアすべき難題だ。
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 アルベマールは多様なDLE技術を研究しているが、同社の幹部はDLEが特定のリチウム鉱床向けに設計された場合に最も効果的だと述べており、盛り上がりに水を差しそうだ。
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 DLE技術の中には水を大量に使用するものがあり、その点が問題視されている。GMがソルトン湖から「かなりの量」のリチウムを生産するために利用している技術では、リチウム1トンを生産するのに10トンの水が使われる。
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 この技術を開発したライラック・ソリューションズによると、脱塩プラントを使えば、飲用水の利用を回避できるという。ライラックは独BMWと、米マイクロソフトの創業者ビル・ゲイツ氏が設立した非営利団体「ブレークスルー・エナジー・ベンチャーズ」から支援を受けている。
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 空売りで知られるヒンデンブルグ・リサーチは2022年2月に公表したリポートで、スタンダード・リチウムが米アーカンソー州で進めるDLEプロジェクトについて、化学大手コーク・インダストリーズと同業ランクセスが支援しているにもかかわらず、機能するかどうかさえ疑わしいとの見方を示した。
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 ヒンデンブルグのネイサン・アンダーソン氏は「DLEはほとんどの人にとって、希望と祈り、神頼みの技術の1つで、ゆえに株を売りたい人々にとっては肥沃な土地だ」と皮肉った。
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 このリポートを受けてスタンダードは1日で時価総額が3億ドル余りも吹き飛び、DLE開発の動きを巡り不安が広がった。スタンダードはリポートに反論、株価は下げ幅を縮小している。
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 米ネバダ州でDLE技術の利用を計画しているルナ・リチウムのエミリー・ハーシュCEOは「DLEは魔法のつえではない。だが、使える手法の中では極めて有益だ」と話した。
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リチウムの特性
リチウムは単体では非常に軟らかく、密度も水の半分程度しかないため、リチウム自体は金属材料として優れているはずが、実際には金属材料として使うことができない。単体では水と激しく反応し、空気中でも窒素と反応して窒化リチウムになり、真っ黒に変色するからです。
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しかし、別の金属に少量添加し、合金とすることで、リチウムのよい性質を活かせる。例えば、アルミニウムに数%添加したアルミニウムーリチウム合金は、非常に軽く硬いため航空機材として使われている(1%のリチウムを添加するたびに剛性は約6%上昇し、密度は約3%低下する)。
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アルミニウムよりも軽い金属マグネシウムにリチウムを添加した、マグネシウム―リチウム合金も非常に軽く強い素材として古くから知られている。最近までその加工の困難さによりあまり利用されていなかったが、2013年NECはノートパソコンに本合金を用いることにより、当時世界最軽量のパソコンの開発に成功している。
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テクノロジーの発達によって、電子機器は小さく、持ち運びしやくすなる一方で、電池もこれに対応して、軽くて大容量のものが求められて来た。
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例えば、カメラの電池などに使われているリチウム電池が知られていました。これを二次電池にしようと試みたが、金属リチウムを使っていたため発火事故が相次ぎ、断念した。1991年に初めて実用化された二次電池であるリチウムイオン電池は、これを克服した。
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金属リチウムを水と反応

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