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   .2023.06.09.
  三井住友建設:23年3月期決算・連続最終赤字!
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「麻布台ヒルズ」が大幅遅延が原因か!
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 準大手ゼネコンの三井住友建設が5月10日、2023年3月期決算を発表。前年度に引き続き、2年連続の最終赤字となった。さらに借入金の財務制限条項にも抵触し、決算短信には企業存続リスクについて記載することとなった。2期連続赤字の大きな要因の一つとみられるのが、森ビルなどが進めている東京・港区の「麻布台ヒルズ」の建設工事の遅れである。すでに巨額損失を出していると思われ、さらなる工期の遅れを指摘する声も聞こえ始めている。
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前年度決算時に219億円の損失を計上しており、今期も約306億円の損失を計上した。2年間合わせて約525億円となった。根本的問題は、同一工事で発生した赤字である。三井住友建設は、損失発生の工事については口をつぐんでいる。
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三井住友建設のIR資料によると、巨額損失の原因は、鋼材の値上がりや部材の検査不合格による廃棄・再製作による費用などが掛かったこと、とある。
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麻布台ヒルズは30年の月日と総工費5800億円をかけた悲願のプロジェクトだが、三井住友建設工区だけが工期遅れとなるイメージ悪化は避けられない。
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麻布台ヒルズのゼネコン3社
・清水建設:A街区・B-2街区
・三井住友建設:B-1街区
・大林組:C街区
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工事遅延については、色々な情報が出ている。全体の遅れの原因を
・建設現場に工事車両の出入りが一苦労
・新型コロナで工事がストップ
・高騰した建設資材の調達に困難
などと書いているが、三井住友建設の工事遅れの原因には触れていない。
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 本紙記事で「村上系ファンド:三井住友建設に狙いを定めた(上)!」で森ビル㈱の発注した「虎ノ門・麻布台プロジェクト」の超高層262mの再開発の一部を2019年に受注したが、1年たった時点でもビルの立ち上げは見えず、他の3棟に比し工期遅れは明白のようだ。
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「村上系ファンド:三井住友建設に狙いを定めた(中)!」には、その内容も書いている。
2019年3月からの決算説明会資料を見るに、2019年に誇らしげに「独自技術による超高層住宅の建設」地上64階、高さ約263mの超高層住宅。
現場名称は「虎ノ門・麻布台地区 第一種市街地再開発事業 B-1街区」で竣工は2023年である。
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 この工事については、2020年以降の決算説明会の資料には、一切触れておらず、また着工1年後になった再開発地域の写真でも、他工区の現場では外観の写真はあっても、三井住友建設の躯体は一向に見えていない。
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 これから推して、赤字現場は「虎ノ門・麻布台地区 B-1街区」なのであろう。
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「村上系ファンド:三井住友建設に狙いを定めた(下)!」では、 三井住友建設の鉄骨躯体が1年たっても見えないのは、他社と構造が違っているからだろう。それは2019年3月度の決算説明会文書に「独自技術による」とある。調べると、特許技術でスクライム-H(SQRIM-H)工法で施工すると森ビルと契約したのではないか。
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スクライム-H(SQRIM-H)工法とは
柱と柱梁接合部を一体にしたプレキャスト部材を用いるオールプレキャスト工法で、スクライム工法を発展させて、製造・運搬効率性が向上しています。
スクライム-H(SQRIM-H)は、Sumitomo Mitsui Quick Rc Integration-Horizontalの略称です。本工法は特許を取得しています。と説明している。
SQRIM-H・実績
2019年8月時点:16棟(17~52階建てのRC住宅に適用)
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 この特許工法、そんなに採用されているわけでもなく、工場製造で何か間違いを起こし、作り変えているのかもしれない。前回にも書いたが、「大型工事における採算が大幅に悪化したことから、営業損失12,300百万円、経常損失13,300百万円、当期純損失9,500百万円を見込んでいる」とある通り経常損失133億円はあまりにも大きい。施工中の大型建築工事における採算悪化に伴い、工事損失引当金繰入額を含む206億円の損失を計上とある。
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 現在施工中のB1街区の工法は「SQRIM-H工法」ではなさそうだ。
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村上系ファンド:三井住友建設に狙いを定めた(上)!
http://kyoto-seikei.com/22-0102-n1.htm
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村上系ファンド:三井住友建設に狙いを定めた(中)!
http://kyoto-seikei.com/22-0103-n1.htm
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村上系ファンド:三井住友建設に狙いを定めた(下)!
http://kyoto-seikei.com/22-0104-n1.htm
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スクライム-H(SQRIM-H)工法とは
https://www.smcon.co.jp/service/sqrim-horizonta/
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三井住友建設:会長が引責辞任・黒字が205億の赤字で!
http://kyoto-seikei.com/23-0327-n2.htm
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上記記事に、三井住友建設によると、現在施行中の大型建築工事で、一部の部材の品質が自社検査で不合格となった。工程に遅れが生じる見込みとなり、その対応費用として169億円の損失を計上。今期は既に建設資材の価格高騰などで62億円の損失を出しており、業績の大幅悪化を余儀なくされた。
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 三井住友建設の文書から、麻布台ヒルズB-1街区の工事で村営気が発生したとは書いていないが、着工時期から追ってきた内からみて、間違いはない。
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